海外の業者がコメントを荒らす為、ブログユーザー以外の書き込みを禁止しました。
管理人に用事がおありの方は、[Pixiv]や[Twitter]で直接連絡をお願い致します。
また、2021/10/27に旧HPのリンクが再び変更されました。[こちら]から飛んで下さい。
管理人に用事がおありの方は、[Pixiv]や[Twitter]で直接連絡をお願い致します。
また、2021/10/27に旧HPのリンクが再び変更されました。[こちら]から飛んで下さい。
第二部:第03話【六本木】 [鬼畜召喚師ランス]
ランス一行は目的地である六本木に到着した。
地上から新宿、地下から銀座、池袋、霞ヶ関を結ぶ"六本木"。
六本木は数ヶ月前までは"赤伯爵"と"黒男爵"と言う、
二人の中年が支配しており"東京のオアシス"とまで呼ばれていた。
……だが、彼らの正体は"魔王ベリアル"と"堕天使ネビロス"であり、
ベリアルがオアシスを求めてやってきた人間を捕らえ、
ネビロスが捕らえた人間の魂を奪って動かし、六本木を"死人の街"としていたのだ。
しかし、何者かによって両方の悪魔は倒され、最初はゾンビが徘徊しているだけの街と変わってしまったが、
今はデビルバスターに大半が処理されたのか、六本木に移ってきた人間や、悪魔人達が生活している。
よって現在では、六本木は4つの地域を結ぶ重要な街となっているのだ。
「ほぅ……此処が"六本木"か」
「おっきい建物だねぇ……」
「凄い技術が用(もち)いられているようですね」
六本木に到着し、まばらな人々を背景に巨大な建築物を見上げているランス達。
新宿は地下に街があったが、六本木は地上にあるようだ。
その六本木の象徴である大きな建築物は、現代で言うのなら、
東京の"伊勢丹"や"三越"や"丸井"などの、デパートクラスの規模をほこっており、
(この世界ではほぼ全て倒壊しているが)新宿ではひとつも見れなかった建築物だ。
その為かこのようなビルが見れるとは思わなかったので、
少し見入ってしまった三人であったが、ランスが足を進ませながら言う。
「荒野を抜けてからも仲魔になりそうな悪魔が出てこなかったが、
一匹は仲魔にできた事だし、良しとするか……思ったよりも、早く着いたしな」
「戦いそのものが少なかった事だけでも、喜ぶべきでしょう」
「まぁいい、ゴールはもう目の前だ、行くぞぉ~っ!」
「はぁ~い」
「入ってからは、ターミナルを探すのが良いかと思います」
「そうだなぁ」
……
…………
六本木に入ったランス達は、マリスの言うように、ターミナルの場所を通行人から聞き出した。
結果、"六本木ターミナル"はすぐ近くにあるようで、
現在ランス一行は、ターミナルの入り口のまん前である。
場所を聞いたマリスを先頭に、突き当たりで5人はピタリと足を止める。
「……どうやら、ここのようですね」
「ほぅ、なら早速、"転送"ってのをやってみるか」
「それじゃあダーリン、新宿に戻っちゃうの?」
「うむ。 何だかんだで疲れたからな、帰って寝るぞ!」
「寝るって……まだ早いんじゃないのぉ?」
「うるさい、いちいちツッコむなっ!」
「ぶぅ……」
『それではもう、本日の守護は終了なのですかっ?』
「そうなるな、だからお前達は"この中"に――――」
『…………』
『…………』
「む……どうした? 不服があるのか?」
六本木と言えど新宿と言えど、悪魔を引き連れて歩くと目立つ。
目立つ事に対し、ランスは全然構わないのだが、(かなり)リアと(少しだけ)マリスは良い顔をしないので、
今日はもうアームターミナルに戻ってもらう事にしたのだが……
エンジェルナイトとアリアンロッドは、
何やら上目遣いでランスを見上げながら黙っていたが、口々にする。
『私達、此処まで頑張りました』
『頑張った』
「あぁ……お前らは確かに頑張ったぞ、うむ」
『…………』
『…………』
「????」
「(ランスさん、もしやですが、彼女達は労って欲しいのではないですか?)」
「(労って欲しいだとおう?)」
「(えぇ、サービスやら点数やら、言っておりましたし)」
「(あ~~っ、そういやそんな事を言ったような気がする。だが点数とかはハッキリ覚えてないぞ?)」
「(私の聞いた限りでは……エンジェルナイトが12点、アリアンロッドが16点だった筈です)」
「(なっ……お前良く覚えてるな、大したヤツだ)」
「(恐縮です)」
「よぉし、それならまずはお前には――――」
悪魔は人間ほど疲れないのか、夜もたいして寝ずに役に立ってきた。
そんな二体の悪魔は、ランスの最初の言葉を未だに忘れていないらしく、
無言で主人をじ~~っと見つめている。
対して、マリスに言われてやっと視線の意味がわかったランスは、
まずはエンジェルナイトに無造作に近寄ると――――
≪んちゅ!≫
『んん!?』
「…………」
『……あっ』
「はい、おわりぃ! 今度はお前だぁ~」
『えっ?』
「がははははは」
≪ぶちゅっ!≫
『――――んんぅ!!』
ランスはエンジェルナイトに軽いキッスを。
アリアンロッドには、ディープキッスをプレゼンツした。
徹夜の健闘には簡単な労いかもしれないが、唇が離れた二体の悪魔の表情は、何故かポーッとしていた。
ランスと肌は既に重ねているものの、これはこれで効果があったようだ。
「労い完了ッ……という訳で、回収~」
≪シュウウゥゥ~……≫
「ダーリンダーリン! リアにもキスしてよキスぅ!!」
「ダメだダメだ、お前はまだ5点しか取ってないだろうが」
「ぷぅぅ! 意地悪ぅぅ!!」
「(リア様のは覚えているのね……)」
……
…………
≪……ィィーーーーン……≫
「六本木のターミナルも、新宿のと一緒だねぇ」
「しかし凄い装置だ、マリアが見たら小躍りしそうだな」
「お二人とも。転送するよう入力してしまいますが、宜しいですか?」
「うむ」
「うん」
「……では」
≪ピピッ……≫
『新宿ターミナルに、転送します』
……
…………
『またのご利用を、お待ちしています』
≪ガシュゥゥーー……≫
「うおぉ~、戻ってきたなぁ」
「あっという間に着いちゃった……」
「魔法レベル3の瞬間移動を、こうも簡単に利用できるとは思いませんでしたね」
「じゃあ、またあの親父のところに行ってやるとするか」
「さんせ~!」
……
…………
≪――――ガラガラッ≫
「!? おぉ、お主ら! 無事だったのか!」
「ふん、当たり前だ」
「御無事でよかったです、昨日から主人は、貴方達の事ばかり気になってらしたのですよ?」
「また、よろしくお願いしまぁ~す」
「……そんな訳だ、また部屋を借りるぞ?」
「あぁ、好きに使ってくれ! 安くしておくぞ」
「ふんっ……おい、リア、マリス。もう俺様は寝るから、適当に使ったアイテムを買い足しておけ」
「……畏まりました」
「えっ? ダーリン、どうしたのぉ?」
「さっきも言っただろう? どうもせんが、俺様でも疲れる事はあるのだっ、黙って休ませろ」
「む~~っ……」
「り、リア様、まずは(私と)シャワーを浴びましょう。その後に買い物にでも……」
この時、不服そうなリアを尻目にマリスは、ランスの考えている事を大まかにだが察していた。
だが……リアと一緒にシャワーを浴びれる事は、元の世界では、今や滅多に経験できない幸せの一時であり、
その幸せと比べるとランスの企みは、遥かに小さなモノでしかなかった。
よってマリスは少しだけ目を泳がせながら、
彼女に心の中で謝罪しつつ、優しく声を掛けて浴室に誘導していった。
……
…………
≪シーン……≫
「ふっふっふっふ」
時刻は現在17時。
まだ外は暗くなっていないが、ランスが入った一室は真っ暗であった。
何故なら、自分はさっさと寝てしまった事になっているのだから。
一風呂浴びてホカホカなランスは(暗いので湯気は見えないが)、
腰にタオル一枚のみにハンドヘルドコンピュータという、
何とも奇特な格好で、左目の液晶を見ながら画面を操作する。
≪ピッ、ピピピッ……≫
「(ぼそ)……召喚」
≪バシュウウゥゥッ!!≫
すると、暗闇の中、一体の悪魔が召喚される。
そこそこ部屋に音が響いたが、防音となっており、
リアとマリスが魔法の練習をしていた時ほどは、音は響いていない。
さて置き。暗闇の中、光る瞳……勿論、その悪魔は――――
『ニャア~?』
「よォ」
『ニャアァァッ!!』
≪がしっ!!≫
「うぉっ!? ……がはははは、よしよし」
――――勿論 獣人ワーキャットである。
何を隠そう、ランスは確かに昨日からの戦いで多少は疲れていたが、
すぐ寝る必要がある訳ではなく、"これ"が目的だったのだ。
マリスは大方察していたが、突っ込まなかった理由は前述の通り。
それはそうと、召喚されてランスを確認したワーキャットは、
彼の胸に向かって飛びつき、対してランスは猫をあやす様に手を添えた。
その手の感触を感じながら、ランスに頬ずりするワーキャット。
≪すりすり≫
『ウニャァ~……』
「(むらむら、たまらん……よぉ~し、理性爆発だぁぁ!!)」
『ウニャッ!?』
≪――――がばっ!!≫
「がははははは! セックスだ、交尾だ、生殖活動だッ!!」
『ニャ、ニャアアァァ~~!!』
ワーキャットってはじゃれているだけだったのだが、彼女の姿から、ランスの理性を吹き飛ばすのは十分だった。
(どっちにしろワーキャットとエッチする事が目的だったのだが)
こうしてランスは、彼女を勢いをつけて抱き上げると、一直線にベットにへと猛ダッシュするのであった。
……
…………
……数時間後。
ベット上に、少し疲れた顔をしたランスが上半身を起こしている。
そんな彼の真横には、ワーキャットが丸くなって寝息を立てていた。
ランスは彼女を見下ろし、数十分前の出来事思い出す。
「う~む……」
『くぅ、くぅ……』
「流石は動物……あ、あなどれん……」
今のランスにとっては彼女の耐久力は中々で、
最初は自分のペースだったものの、次第に立場が逆転していった。
元の世界のランスであれば軽く捌けそうなものだが、
こちらでは回数を抑えるだけでなく、なるべく相手も選んだほうが良いようだ。
だが……まだ倒れるわけにはいかないので、
ランスはハンドへルドコンピュータに手を伸ばして、それを操作する。
やっているのは、前からヤろうと決めていた……合体検索である。
「獣人とは何を合体させれば良いんだぁ~? ……むむっ?」
≪ 獣人 × 闘鬼 = 鬼神 ≫
「おぉ~っ、なかなか楽に"ライト悪魔"が作れるではないか」
……その結果、ランスはひとつの合体レシピを導き出す。
"闘鬼"と合体させ、カオスサイドのライト悪魔、"鬼神"を作るのだ。
ランスにとって(別の意味で)あまりパッと感じない種族ではあるが、
強そうな響きではあるので、良しとする事にした。
そしてアームターミナルを弄っていた右腕で、ランスは夢の中であるワーキャットの髪を撫でながら言った。
「まだ見たことも無い種族だが~……何とかなるだろう。
安心しろよ……お前は俺様が必ず"強い悪魔"にしてやるからな」
こうして……ランスの8日目の夜が過ぎていった。
一方、別の部屋では――――
「リア様、そろそろ休みましょう」
「またマリスと寝るのおぉ? リア、ダーリンの夜這いしたいのに~!」
「お気持ちもわかりますが、あの方はお疲れのようでしたし……(今の、ちょっとショックでした、リア様……)」
「でも、いっかぁ……最近、すごく楽しいの」
「リア様……(それ程まで……)」
○ステータス(初期値ALL5+ボーナス18+Lv=合計)
ランスLv32 力22 知10 魔6 体16 速18 運8
リ アLv26 力8 知16 魔20 体8 速12 運10
マリスLv28 力12 知22 魔12 体10 速14 運6
残金:15000マッカ
目次
地上から新宿、地下から銀座、池袋、霞ヶ関を結ぶ"六本木"。
六本木は数ヶ月前までは"赤伯爵"と"黒男爵"と言う、
二人の中年が支配しており"東京のオアシス"とまで呼ばれていた。
……だが、彼らの正体は"魔王ベリアル"と"堕天使ネビロス"であり、
ベリアルがオアシスを求めてやってきた人間を捕らえ、
ネビロスが捕らえた人間の魂を奪って動かし、六本木を"死人の街"としていたのだ。
しかし、何者かによって両方の悪魔は倒され、最初はゾンビが徘徊しているだけの街と変わってしまったが、
今はデビルバスターに大半が処理されたのか、六本木に移ってきた人間や、悪魔人達が生活している。
よって現在では、六本木は4つの地域を結ぶ重要な街となっているのだ。
「ほぅ……此処が"六本木"か」
「おっきい建物だねぇ……」
「凄い技術が用(もち)いられているようですね」
六本木に到着し、まばらな人々を背景に巨大な建築物を見上げているランス達。
新宿は地下に街があったが、六本木は地上にあるようだ。
その六本木の象徴である大きな建築物は、現代で言うのなら、
東京の"伊勢丹"や"三越"や"丸井"などの、デパートクラスの規模をほこっており、
(この世界ではほぼ全て倒壊しているが)新宿ではひとつも見れなかった建築物だ。
その為かこのようなビルが見れるとは思わなかったので、
少し見入ってしまった三人であったが、ランスが足を進ませながら言う。
「荒野を抜けてからも仲魔になりそうな悪魔が出てこなかったが、
一匹は仲魔にできた事だし、良しとするか……思ったよりも、早く着いたしな」
「戦いそのものが少なかった事だけでも、喜ぶべきでしょう」
「まぁいい、ゴールはもう目の前だ、行くぞぉ~っ!」
「はぁ~い」
「入ってからは、ターミナルを探すのが良いかと思います」
「そうだなぁ」
……
…………
六本木に入ったランス達は、マリスの言うように、ターミナルの場所を通行人から聞き出した。
結果、"六本木ターミナル"はすぐ近くにあるようで、
現在ランス一行は、ターミナルの入り口のまん前である。
場所を聞いたマリスを先頭に、突き当たりで5人はピタリと足を止める。
「……どうやら、ここのようですね」
「ほぅ、なら早速、"転送"ってのをやってみるか」
「それじゃあダーリン、新宿に戻っちゃうの?」
「うむ。 何だかんだで疲れたからな、帰って寝るぞ!」
「寝るって……まだ早いんじゃないのぉ?」
「うるさい、いちいちツッコむなっ!」
「ぶぅ……」
『それではもう、本日の守護は終了なのですかっ?』
「そうなるな、だからお前達は"この中"に――――」
『…………』
『…………』
「む……どうした? 不服があるのか?」
六本木と言えど新宿と言えど、悪魔を引き連れて歩くと目立つ。
目立つ事に対し、ランスは全然構わないのだが、(かなり)リアと(少しだけ)マリスは良い顔をしないので、
今日はもうアームターミナルに戻ってもらう事にしたのだが……
エンジェルナイトとアリアンロッドは、
何やら上目遣いでランスを見上げながら黙っていたが、口々にする。
『私達、此処まで頑張りました』
『頑張った』
「あぁ……お前らは確かに頑張ったぞ、うむ」
『…………』
『…………』
「????」
「(ランスさん、もしやですが、彼女達は労って欲しいのではないですか?)」
「(労って欲しいだとおう?)」
「(えぇ、サービスやら点数やら、言っておりましたし)」
「(あ~~っ、そういやそんな事を言ったような気がする。だが点数とかはハッキリ覚えてないぞ?)」
「(私の聞いた限りでは……エンジェルナイトが12点、アリアンロッドが16点だった筈です)」
「(なっ……お前良く覚えてるな、大したヤツだ)」
「(恐縮です)」
「よぉし、それならまずはお前には――――」
悪魔は人間ほど疲れないのか、夜もたいして寝ずに役に立ってきた。
そんな二体の悪魔は、ランスの最初の言葉を未だに忘れていないらしく、
無言で主人をじ~~っと見つめている。
対して、マリスに言われてやっと視線の意味がわかったランスは、
まずはエンジェルナイトに無造作に近寄ると――――
≪んちゅ!≫
『んん!?』
「…………」
『……あっ』
「はい、おわりぃ! 今度はお前だぁ~」
『えっ?』
「がははははは」
≪ぶちゅっ!≫
『――――んんぅ!!』
ランスはエンジェルナイトに軽いキッスを。
アリアンロッドには、ディープキッスをプレゼンツした。
徹夜の健闘には簡単な労いかもしれないが、唇が離れた二体の悪魔の表情は、何故かポーッとしていた。
ランスと肌は既に重ねているものの、これはこれで効果があったようだ。
「労い完了ッ……という訳で、回収~」
≪シュウウゥゥ~……≫
「ダーリンダーリン! リアにもキスしてよキスぅ!!」
「ダメだダメだ、お前はまだ5点しか取ってないだろうが」
「ぷぅぅ! 意地悪ぅぅ!!」
「(リア様のは覚えているのね……)」
……
…………
≪……ィィーーーーン……≫
「六本木のターミナルも、新宿のと一緒だねぇ」
「しかし凄い装置だ、マリアが見たら小躍りしそうだな」
「お二人とも。転送するよう入力してしまいますが、宜しいですか?」
「うむ」
「うん」
「……では」
≪ピピッ……≫
『新宿ターミナルに、転送します』
……
…………
『またのご利用を、お待ちしています』
≪ガシュゥゥーー……≫
「うおぉ~、戻ってきたなぁ」
「あっという間に着いちゃった……」
「魔法レベル3の瞬間移動を、こうも簡単に利用できるとは思いませんでしたね」
「じゃあ、またあの親父のところに行ってやるとするか」
「さんせ~!」
……
…………
≪――――ガラガラッ≫
「!? おぉ、お主ら! 無事だったのか!」
「ふん、当たり前だ」
「御無事でよかったです、昨日から主人は、貴方達の事ばかり気になってらしたのですよ?」
「また、よろしくお願いしまぁ~す」
「……そんな訳だ、また部屋を借りるぞ?」
「あぁ、好きに使ってくれ! 安くしておくぞ」
「ふんっ……おい、リア、マリス。もう俺様は寝るから、適当に使ったアイテムを買い足しておけ」
「……畏まりました」
「えっ? ダーリン、どうしたのぉ?」
「さっきも言っただろう? どうもせんが、俺様でも疲れる事はあるのだっ、黙って休ませろ」
「む~~っ……」
「り、リア様、まずは(私と)シャワーを浴びましょう。その後に買い物にでも……」
この時、不服そうなリアを尻目にマリスは、ランスの考えている事を大まかにだが察していた。
だが……リアと一緒にシャワーを浴びれる事は、元の世界では、今や滅多に経験できない幸せの一時であり、
その幸せと比べるとランスの企みは、遥かに小さなモノでしかなかった。
よってマリスは少しだけ目を泳がせながら、
彼女に心の中で謝罪しつつ、優しく声を掛けて浴室に誘導していった。
……
…………
≪シーン……≫
「ふっふっふっふ」
時刻は現在17時。
まだ外は暗くなっていないが、ランスが入った一室は真っ暗であった。
何故なら、自分はさっさと寝てしまった事になっているのだから。
一風呂浴びてホカホカなランスは(暗いので湯気は見えないが)、
腰にタオル一枚のみにハンドヘルドコンピュータという、
何とも奇特な格好で、左目の液晶を見ながら画面を操作する。
≪ピッ、ピピピッ……≫
「(ぼそ)……召喚」
≪バシュウウゥゥッ!!≫
すると、暗闇の中、一体の悪魔が召喚される。
そこそこ部屋に音が響いたが、防音となっており、
リアとマリスが魔法の練習をしていた時ほどは、音は響いていない。
さて置き。暗闇の中、光る瞳……勿論、その悪魔は――――
『ニャア~?』
「よォ」
『ニャアァァッ!!』
≪がしっ!!≫
「うぉっ!? ……がはははは、よしよし」
――――勿論 獣人ワーキャットである。
何を隠そう、ランスは確かに昨日からの戦いで多少は疲れていたが、
すぐ寝る必要がある訳ではなく、"これ"が目的だったのだ。
マリスは大方察していたが、突っ込まなかった理由は前述の通り。
それはそうと、召喚されてランスを確認したワーキャットは、
彼の胸に向かって飛びつき、対してランスは猫をあやす様に手を添えた。
その手の感触を感じながら、ランスに頬ずりするワーキャット。
≪すりすり≫
『ウニャァ~……』
「(むらむら、たまらん……よぉ~し、理性爆発だぁぁ!!)」
『ウニャッ!?』
≪――――がばっ!!≫
「がははははは! セックスだ、交尾だ、生殖活動だッ!!」
『ニャ、ニャアアァァ~~!!』
ワーキャットってはじゃれているだけだったのだが、彼女の姿から、ランスの理性を吹き飛ばすのは十分だった。
(どっちにしろワーキャットとエッチする事が目的だったのだが)
こうしてランスは、彼女を勢いをつけて抱き上げると、一直線にベットにへと猛ダッシュするのであった。
……
…………
……数時間後。
ベット上に、少し疲れた顔をしたランスが上半身を起こしている。
そんな彼の真横には、ワーキャットが丸くなって寝息を立てていた。
ランスは彼女を見下ろし、数十分前の出来事思い出す。
「う~む……」
『くぅ、くぅ……』
「流石は動物……あ、あなどれん……」
今のランスにとっては彼女の耐久力は中々で、
最初は自分のペースだったものの、次第に立場が逆転していった。
元の世界のランスであれば軽く捌けそうなものだが、
こちらでは回数を抑えるだけでなく、なるべく相手も選んだほうが良いようだ。
だが……まだ倒れるわけにはいかないので、
ランスはハンドへルドコンピュータに手を伸ばして、それを操作する。
やっているのは、前からヤろうと決めていた……合体検索である。
「獣人とは何を合体させれば良いんだぁ~? ……むむっ?」
≪ 獣人 × 闘鬼 = 鬼神 ≫
「おぉ~っ、なかなか楽に"ライト悪魔"が作れるではないか」
……その結果、ランスはひとつの合体レシピを導き出す。
"闘鬼"と合体させ、カオスサイドのライト悪魔、"鬼神"を作るのだ。
ランスにとって(別の意味で)あまりパッと感じない種族ではあるが、
強そうな響きではあるので、良しとする事にした。
そしてアームターミナルを弄っていた右腕で、ランスは夢の中であるワーキャットの髪を撫でながら言った。
「まだ見たことも無い種族だが~……何とかなるだろう。
安心しろよ……お前は俺様が必ず"強い悪魔"にしてやるからな」
こうして……ランスの8日目の夜が過ぎていった。
一方、別の部屋では――――
「リア様、そろそろ休みましょう」
「またマリスと寝るのおぉ? リア、ダーリンの夜這いしたいのに~!」
「お気持ちもわかりますが、あの方はお疲れのようでしたし……(今の、ちょっとショックでした、リア様……)」
「でも、いっかぁ……最近、すごく楽しいの」
「リア様……(それ程まで……)」
○ステータス(初期値ALL5+ボーナス18+Lv=合計)
ランスLv32 力22 知10 魔6 体16 速18 運8
リ アLv26 力8 知16 魔20 体8 速12 運10
マリスLv28 力12 知22 魔12 体10 速14 運6
残金:15000マッカ
目次
コメント 0