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【遅過ぎる】これはひどいオルタネイティヴ57【暫定掲載】 [マブラヴ]

何と一年以上も開いてしまいましたが、ようやく打つ気力が戻り完成に至ったので掲載しました。
理想郷が落ちているのが気掛かりですが、復活後は"あちら"での投稿を優先させるつもりです。
【これはひどいオルタネイティヴ】って何? ……と言う方はShinjiGateで第一話から読めます。






2001年12月17日 午前




≪――――パチンッ!≫




「……話をしよう」

「!?!?」×7




指パッチン後(見た目だけ)真剣に口を開いた俺に対し、周囲の空気が重くなったのを感じた。

何故なら千鶴達5人(全員エロスーツ)は勿論の事 左右の真那さん&霞もカラダを強張らせたからである。

なんだよ~ッ、俺の行動はギャグでしか無いのに皆ノリが悪いなァ……って無茶振りは大概にして置こう。

俺の言葉に彼女達がどう感じようとも、肖ってしまったからには"肖り通す"しか無いのだから。

よって俺は少しだけ時間を取って考えて置いた台詞を、いま考えていそうなワザとらしい仕草で言う。




「この機体の開発計画の開始は1991年……いや、1992年だったか……? まァいい」




正直"瑞鶴"の後継機選定の開始が91年で、92年が"飛鳥計画"スタート故に どっちでも良いのだ。

……って、そんな事は斯衛の方達の前だと口が裂けても言えませんけどね。特に真横の人とかにも成ると。

尚 俺みたいなアホでも武御雷(黒)を手に入れる様に交渉した位だし、多少の設定や歴史は理解できている。




「俺にとっては つい昨日だが、この機体としての歴史が始まるのは多分……明日の出来事だ」




≪どやぁ……≫




「…………」×7




「(う~ん。新しい機体を乗るに当たって経緯の把握も大切だけど、それは二の次と言う事かしら?)」

「(成る程……既にタケルにとっては武御雷すら過去の機体か。だが相変わらず難しい事を言うのだな)」

「(良く分からないけど……私達に"あの機体"が配備されるって事で……間違い無さそうかな……?)」

「(はぅあう……た、たけるさんが紹介してくれるって事は……やっぱり憧れの武御雷を私達に?)」

「(あの武御雷~ッ、一機だけ頭に見慣れないアンテナみたいなモノも付いてるけど、何なのかなぁ?)」


「(ふむ。この武御雷は国連軍に属された事で、新たな歴史を踏み出した機体……流石と言う発想ですね)」

「(こうやって白銀"お兄さん"のお仕事の様子を見る事で……私も色々と学ばなければいけません)」


――――うわぁ。何だか皆 難しい顔をしてるじゃないですかッ! 深く考えなくて流してくれりゃ良いのに!!


「……と言う訳で本日を持って……元207B分隊長 榊千鶴 少尉」

「は、はいっ!」

「貴官を新たに設立する独立小隊"横浜基地・快速反応部隊"の小隊長に任命する」

「(か、快速……反応部隊ですって?)」

「榊ッ」

「返事」

「!? す、すみません! 了解しました! 謹んで御受け致しますッ!」

「結構結構(ナイスなフォローだ冥夜&慧)」

「そ、それでは……質問をさせていただいても宜しいでしょうか? 白銀少佐」

「良いぞ?」(心が寛大)

「有難う御座います。えっと……何故 私達の"吹雪F型が有った場所"に武御雷が有るのでしょうか?」

「大方 予想した通りだと思うぞ?」

「むぅ。だとすれば、やはり我々に――――」

「肯定だ御剣。"快速反応部隊"の設立に当たり、君達には黒の武御雷が支給される事と成ったんだ」

「!? で、でも~……コレって帝国斯衛軍の機体ですよ~? ちょっとやそっとじゃ手に入らないんじゃッ」


――――両手の肘を折り拳を握って言う"たま"。常識的に考えて一般人が思いつく当たり前の疑問だろう。


「……コストも……吹雪F型の比較じゃない筈……」

「それにボク達は最近まで訓練兵だったんですよ~?」

「(早い話 悠陽から貰ったとか)残念ながら詳しくは今 話せないが、榊達の実力も 然る事ながら、
 国連軍と帝国軍……互いに利害が一致して此処に配備されたとダケは言って置くよ。
 だから細かい事は気にせずに新しい戦術機……武御雷F型に慣れる事を考えた方が良いだろう。
 折角 吹雪F型に馴染んで来たってのに申し訳ないけどな。殆ど別の機体に感じるだろうし」

『……ッ……』

「尚 君達は現在 副司令の権限で(気は乗らないが)俺の即時対応部隊としての位置付けと成っている。
 場合によっては俺達"突撃機動部隊"やA-01と共に作戦を行う事も有ると思うから宜しく頼む」

『了解!!』

「そんな訳で。そろそろ気に成って仕方無いと思っている様だから紹介しよう。先ずは月詠中尉から」

「はっ!」


≪――――ザッ≫


「武御雷は国連軍の機体じゃ無い事から、流石に俺だと実戦を踏まえたアドバイスをするのは難しい。
 其処で第19独立警護小隊の"彼女達"が暫くの間、快速反応部隊に対しての講師役を担ってくれた」

「先日の作戦(クーデター)では こう言った機会すら有りませんでしたが、改めまして月詠真那 中尉です。
 今回は香月副司令の命の元、武御雷 操縦に関しての指導役を務めさせて頂きます。以後お見知りおきを」

『……!!』

「皆が違和感を得ている通り彼女は武御雷を提供した斯衛として、対等に近い形で接してくれる事になる。
 だから緊張を解いて指導を受けて貰って構わない。かと言ってダラける事は問題外なので頑張ってくれ」

『はっ!!』

「(め、冥夜様まで口をアングリとされるとは……)それでは続いて紹介致します。神代・巴・戎ッ!」

『…………』


――――真那さんが斯衛トリオの名を呼ぶと、気配を消していた3名が物陰から現れて千鶴達の正面に並ぶ。


「白銀少佐が"彼女達"と述べられていた通り、私の他 皆様も御存知の"この3名"も今回 指導に当たります。
 まだ若輩では有りますが武御雷に対する知識は深い故、分からない事が有れば何でも聞くと良いでしょう」

「宜しく御願いします!!」×3

「第19独立警護小隊の皆とは何度かシミュレーター訓練を行った事が有るが、当然 実力は折り紙つきだ。
 例の事件での戦果も記憶に新しいけど、全員が不知火S型 搭乗でハイヴの反応路 到達を達成している」

『……ッ……』

「だから其の辺についても遠慮なく知恵を授かっても良いだろう。今回は"そう言う空気"で遣れるからさ」


「(香月副司令は……そして白銀少佐は……本気で私達を戦力として活かす事を考えてくれているのね)」

「(まさか月詠達と この様な形で接する時が来るとはな……正直 複雑では有るが感謝せねば成るまい)」

「(任官したからには後には戻れないけど、この上ない待遇って所かな……? でも私は武御雷より……)」

「(ほ、本当に以前は触ろうとして怒られそうだった機体に乗れるんだッ! 不謹慎だけど楽しみだよ~)」

「(へぇ~ッ。月詠中尉って前は殆ど表情が変わってなかったけど、あんな顔も出来るん人だったんだね)」


――――配属変更・武御雷の支給・月詠さん達の指導。既に元B分隊の面々は驚くのを通り越している模様。


「まァ思う所は多々有るだろうが引き続いて。社 臨時少尉」

「はい」


≪コツンッ≫


「何回か姿を見た人も居るだろうけど、この社は副司令の元でXM3や新武装の開発の中枢を担っていた」

『!?!?』

「(思わず振り返ってる斯衛トリオも含めて)驚いちまうのも無理はないが確かな事だ。人は見かけによらない。
 他にも特殊な任務に携わってて姿を現す事は少なかったけど、今は落ち着いた為 会う機会も多く成る筈だ」

「や、社 霞です……先日 臨時少尉として任官しました……」

「けど見ての通り人見知りする性格だから優しく接してくれると助かる。皆と同期とも言えるから仲良くな?」

「ぅッ……」

『…………』


≪じ~ッ……≫


――――皆の凝視に霞の小さな背中が更に縮んで見える。後で頭撫でてやるから、もう暫く頑張るんだッ!


「!? ……よ……宜しく御願いします……」


≪ぺこり≫


『…………』

「少佐」←シュタっと

「何だ?」

「頭……撫でても良い?」

「ダメ」

「妬ましい」

「彩峰ッ!」

「はははッ。じゃあ引き続いて彼女に武御雷(黒)の概要を説明して貰おう。その知識の深さに驚く無かれッ」

『…………』

「それでは皆さん。今より白銀少佐に代わり……武御雷・国連軍仕様の説明を手短に行わせて頂きます……」




……




…………




――――よしわかった説明しよう。これは武御雷だ。




――――見ての通り継ぎ目すら無い、美しいフォルムだろ?




――――どんな素材で出来ているのか調べれば分かるだろうが……すまない。俺には興味が無いんでね。




俺が機体の説明役だったら必ず混ぜたい台詞だったが、そもそも知識が足りないので実現には至らなかった。

それにしても……約10分という時間だが霞がアレ程 喋ったのを見たのは初めてかもしれない。

先程の月詠さんの様に一人の人間と向き合うのは苦手っぽいが、仕事と割り切れば案外 頑張れる模様。

当然 説明していた内容には文句の付け様も無く、月詠さんでさえ感心した様に話を聞いていた。

F型に改造されている事で僅かに変わった仕様すら説明し、彼女達の指導に役立てる配慮も有ったからだ。


「……以上で お話を終わります」

「御疲れ様~。では社 臨時少尉に敬礼」

『――――ッ』

「……ふむ」

「どうしました? 中尉」

「いえ何と言うか……御見逸れしましたね」

「はははッ。そうでしょう? 自慢じゃ無いけど彼女は俺の100倍は頭良いッスから」

「……白銀少佐……本当に何の自慢にも成ってません……」

「言ってくれるな臨時少尉。ともかく今から各員 新しい機体のフィードバック・データ等の調整に移ろう。
 んじゃ榊と月詠中尉・御剣と神代少尉・珠瀬と巴少尉・鎧衣と戎少尉の組み合わせで作業に当たってくれ」

『了解!!』

「そんでもって彩峰は俺とだ。社少尉には端末越しで皆のフォローをして貰うから宜しく頼んだ」

「……はい」


俺の口から告げられた組み合わせで、皆がハンガーに佇む各々の武御雷のコックピットの中へと入ってゆく。

その際 冥夜と真那さんが一度 視線を合わせて複雑な表情をしていたが、コレは妥当な采配だと思っている。

幾ら階級の蟠りが抜けてるとは言え、今2人を合わせるのはクーデターで悠陽を冥夜と同乗させる様なモノ。

よって同じ小隊長ポジと言う事で千鶴と真那さんにしたワケで有り、皆も何となく察してくれているだろう。

さて置き。

俺と慧を一緒にしたのは斯衛の4人の性格だと、彼女を無難に相手に出来そうな人が浮かばなかったからだ。

……かと言って彼女は時と場合を選んで"白銀語"を使う事は分かっているが、まァ消去法と言ったヤツです。

戎とは口調の関係で何気に合う気もしたんだけど、慧と彼女だとポジションが正反対だから仕方無かった。

そんな事をトテトテと端末に走る霞の背中を見ながら思っていると、何時の間にか目の前に慧が立っている。


「…………」

「うぉおッ」


「何処見てるの?」

「おっぱい」


「!?!?」

「あッ、いや。聞かなかった事にしてくれます? いやマジで」


――――いかん条件反射でセクハラ発言してしまったが、慧は一瞬 瞳を見開くダケで直ぐに口元を歪ませる。


「相変わらずだね」

「な、何がだ?」

「そう言う冗談?」

「何故 疑問系……」

「いやね。私だし」

「納得」

「……でも」

「うん?」


≪じ~ッ……≫


「…………」

「どした?」


ぶっちゃけ相手が慧じゃ無かったら死活問題な発言だったと思うので、強化装備+おっぱいの魅力 恐るべし。

う~ん。唯依達で おっぱいには見慣れていた筈だったんだけど、極上の乳に対する耐久は未だに疎かの様だ。

特に築地のをリアルで至近距離で見たら前屈みは必至だろうからイルマ・オッパイで鍛錬する必要が有るな。

そう新たな決意を胸に秘めていると、慧は何か思うトコロが有るのか無表情で此方を眺めて来てたんだけど。


≪――――プイッ≫


「ちょっ!? 何そのリアクション!?」

「別に」

「……ってスタスタ行くなって!! 慧さ~んッ!」

「…………」

「や、やっぱり今のは癪だったんだろッ? 絶対そうだろ!?」

「今のとは違う」

「……今のと?」


≪――――ピタッ≫


「乗りたかった」

「んあっ?」

「カスタム」

「あ、あぁ~ッ……(納得)」

「トライアルで特に思った。私には"あの機体"しか無いかなって」

「だが大人の事情ってのが有ってだなァ」

「それは分かってる。其処まで馬鹿じゃない」

「そ、そうか」

「武は本当に凄いと思う。まさか"武御雷"が来るなんて」

「貰えたボクもビックリです」

「でも上手く活かせるのは御剣かな?」

「まァそう言う機体だし……って事は」

「差が埋まらない」

「!? お前……何気にライバル視してたんだな。冥夜を」

「意外だった?」

「今気付いた位だしな。つまり武御雷に乗れるのは嬉しいが、カスタムの件が潰れてモニョモニョすると?」

「その擬音はどうかと思う」

「ほっとけ!」

「でも胸に蟠りが有るのは確か」

「そのデカさだしな」

「……殴るよ?」

「すいませんでした。ちなみにスイッチ其処な? 大体は吹雪の管制ユニットと同じだから」

「分かってる」


一旦 足を止めた慧だったが直ぐ再度 歩み出しており、こんな会話を交わしつつコックピットに入ると。

彼女はシートに座って操作を開始し、俺は目移りしている慧に予習した記憶を頼りにアドバイスを送る。

それにしても慧が冥夜をなァ……千鶴との対立が早期に消えた事で、同じポジションのアイツを気にしたか。

他人に察せられる程には意識しなかった様だが、今思えば俺って他人同士のイザコザには無配慮だったなァ。

掘り返せば慧が冥夜に対抗意識を持っているみたく連携に影響しそうな事も出て来るかもしれないが……

彼女の件に関しては其処まで問題ない以前に癪な事は今 俺がフォローすれば良いとして、他はどうしよう?

支障が有りそうな問題児は俺が知る全ての衛士で考えても直ぐには出てこないので気にしても仕方無いかもな。

だとすれば優先されるのは慧のケアか……対抗意識の影響で実戦で無理されても困る為 ちゃんと行わねば。

思い出してみればトライアルで奇襲された時に踏み留まろうとしてたし、些細な事のようで違うかもしれん。

よって黙々と作業を始めた慧に対し、正面で屈んでいる俺は考えを纏めると彼女の手付きを目で追いつつ言う。


「正直な所 冥夜の剣技は完成されている。確か"無現鬼道流"だったか……免許皆伝でも持ってるんだっけ?」

「…………」

「その技術は既に戦術機にも活かされていて、吹雪F型でもモーションが再現される様にアイツは組んでいた」

「…………」

「機体が武御雷に変われば更に化けるだろう。反面 慧には腕は有るが技術が無い。使うのはテンプレ動作だ」

「…………」

「とは言えXM3の恩恵でバリエーションは増えたが何かが足りない。その考えを覆したのがカスタムだった」

「…………」

「即ち話を整理すると。武御雷が配備された事で暫くはコイツで戦う。でも冥夜の方が活かせそうなのが癪と」

「最近は御剣も射撃を多用するようになった」

「ほほぅ」

「…………」


――――未だに作業は止まらないが聞いてはいるのは間違い無い。この通り一度だけ返事も戻って来たしな。


「冥夜の長刀に射撃が備わり最強に見える……って事か」

「…………」

「其処でなんだが」

「…………」

「もし慧が習いたければだが。俺が考えたモーションってのを特別に教えてやっても良い」

「!?!?」


≪――――ずいっ≫(急接近)


「どわッ!?」

「ホント?」

「えっ? あ、あァ……冥夜みたく剣豪 視点じゃ無いけど衛士としての観点でって意味で良ければ」

「大丈夫?」

「其処でも疑問系かよ。まァそれを見て どう捉えるかは慧 次第ってトコだな。構わないか?」

「それで良い。だから見せて魅せろ早く今すぐ急いで。どんな動き?」

「いやいや。どっちみち此処だと無理だろ。シミュレーターのデータに俺が作ったモーションが入ってる」

「……ッ……」

「正直 変な動きだから誰にも見せて無いが、考えて見るとオマエみたいな衛士になら使える気がして来た」

「だったら何時になる?」

「なにが?」

「その訓練」


ぶっちゃけ俺が突発的に慧に御披露目してやろうと思ったのは、例のゲーム(戦●の絆)の攻撃モーションだ。

でも大半が普通の連続攻撃だが、中には格好良いモーションも有るので暇なときに適当に組んだヤツが有る。

その作成ソフトのMMDっぽいのを ゆーこさんに作って貰えないかと頼んだら、早い段階で組んでくれた。

其処で改めて ゆーこさんを変態だと思ったのは さて置き、平和になったら戦術機を躍らせるのも悪く無い。

……かと言っても、特殊なモーションを作ろうが俺に実戦で活かす度胸は無く観賞用に留めるつもりだった。

しかし慧が顔には出さないが悩んでるっぽかったので、何となく晒してみようかなと思ったら御覧の有様だ。

彼女は屈んでいる俺の正面まで来ると四つん這いになって俺の顔を見上げ、その距離は かなりの近さである。

凄い速さでの行動だったので、表情には殆ど変化が無いが彼女の必死さが窺える一面と言えた。

だが上目遣いな為にムダに可愛く見えてしまう自分が憎いッ! 背後からのプリケツ見るよりはマシかもだが。

……って慧に久し振りに萌えている場合では無い。

言ってしまったからには披露せねば成らず、忙しい身とは言え新たなイベントの開始としようか。

いや……純夏の事を除けば皆 優秀な為に訓練では多少 口を挟むダケで済むし、そうでも無いかもしれない。


「だったら今日の夜にシミュレータールームに来てくれ」

「夜に? 許可はされてないと思うけど」

「いやな。定期的に隊長クラスで行ってる訓練が有るんだ。最近 俺はサボってるけどな」

「良いの?」

「まァ俺の所為で始まった様なモンだから1度くらいは問題無いさ。其処でモノにしてくれると助かる」

「分かった」

「じゃあ調整に戻ろう。時間は待ってくれないぞ?」

「……武」

「何だ?」

「座って。其処に」

「へっ?」

「膝に座って遣る」

「なん……だと?」

「ちなみに"お触り"し放題」

「!?!?」


――――とは言え霞の(リーディングの)監視も有るので、気合で我慢する羽目に成ったのは言う迄も無い。




……




…………




……実機の調整にタップリ時間を費やして終えると、快速反応部隊+斯衛4人+俺+霞で昼食を摂った後。

未だに霞が付いてくる中 俺は唯依達と合流すると強化装備には着替えずウォーケン姉妹を横に指示を飛ばす。

何故なら俺は やはり病み上がりだったと言うダケでなく、自分が先行してしまうと上達し難いらしいからだ。

でも"頼もしいのは間違い無い"と皆 申し訳無さそうだったが、今は本調子に戻る為 無理せんで欲しいとの事。

まァ先日"あんな暴言"を吐いてしまった為 口実なのは確定的だろうけど、思い返すと最もな意見である。


■横浜基地 突撃機動部隊■

前衛:唯依・まりもちゃん・ライト

中衛:俺・フレア・ブリザ

後衛:イルマ・七瀬・伊隅(妹)


……大まかに分けて このポジション訳なのだが、昨日 後半の練習での俺の位置は前衛より更に前方での囮。

これは流石に遣り過ぎで有り、大人しく電卓の5の位置で努め様にも病み上がりをダシにされれば今に至る。

しかし殿下城でのヴォールク・データ&純夏とのバトルは体に堪えたのは間違い無く、素直に受け止めました。

七瀬を助ける為に兵士級を斬ったダケで唯依には結構 怒られたし、ヘタにバれちゃっても後が怖いからね。


「篁・神宮司中尉。ライト少尉が付いて来れてないから少し減速だ。彼女のフォロー役も遅れるし支障が出る」

『り、了解ッ』

『すみません』

『クッ……機体は動いてくれるんですが、逆に操作が追いつかないなんて……』

「大丈夫だ問題ない。あとフレア・ブリザ少尉は弾幕が多目かな? 擦れ違い"ついで"に撃つのも無駄になる」

『あちゃ~、間違い無いですねェ。アタシのミスです』

『うぅん……多分 私の所為。近くにBETAを見ると"つい"撃っちゃってたから、フレアも釣られて……』

「早いウチに改善してくれると有り難い。イルマ少尉は隙の大きい"ライフル"は緊急時以外 撃たない様に」

『04了解。構えての移動も段々と慣れて来た気がします』

「七瀬・伊隅少尉は独断では絶対にバズーカは撃たない事。指示の元 前衛の対ショックが整ってからだ」

『は、はい!!(何もかもが新鮮で理解が追い付かないけど、とにかく集中して……ひたすら奥へ潜るッ!)』

『うぅう……付いて行くのがやっとだよ~ッ』

「作戦開始から15分が経過。平均 弾倉消耗率2.5%……進行率は……」

「……ッ……」≪カタカタカタカタカタカタ……≫


正直 何となく気付いた他愛の無い事しか言ってないけど、素直に聞いて下さっている8名の皆様。

尚 真横のセレナ中尉は状況報告を行っており、更に横でテレサ中尉が凄い速さでキーボードを叩いている。

後者に関しては皆の為に以前の訓練との違いを纏めた報告書を作る作業の一環らしいが、指示してませんよ?

だけど彼女にとっては朝飯前らしく、受け取った俺は苦笑い……改めて天才の渦中に自分が居るのだと痛感。

また霞も唯依たちが訓練している様子を口を半開きにしたまま眺めており、とりあえず内線の番をさせている。


≪――――ガチャッ≫


「はい。此方 突撃機動部隊……現在訓練中です」

『あら? 社が出るとは思わなかったわね』

「……香月博士……」

『今 白銀は其処に居る?』

「外で皆さんに……指示を出しています」

『それなら好都合ね。ちょっと替わって』

「はい(……まさか)」


≪パタパタパタパタ≫(足音)


「突撃機動部隊 各機。人が持つ唯一絶対の力……それは自らの意思で、進むべき道を選択する事だ」

『……!!』

「だから皆は常に仲間にとって最良の未来を思い、自由に選択していけ……んっ? どうしたんだ? 社少尉」

「香月博士から内線です」

「マジでか? 直ぐ出る」


――――唯依達には悪いが俺はセレナ中尉と視線を合わせた後、内線の方へと駆けると受話器を手に取る。


『もしもし? 白銀?』

「あァ。やっぱり今回もダメだったよ」

『駄目って何が?』

「流してください。それで俺に何か御用で?」

『鑑が目を覚ましたわよ』

「う、嘘ォ!? 早~ッ!」

『耳元で五月蝿いわねェ……それに同意はするけど』

「前みたいに暴れたりしてないですか?」

『いいえ全く。今は其処のソファーでアンタの"ゆっくり"を眺めてるわ。あげないけど』

「か、替わって下さいッ」

『話が終わったら訓練に戻るなら良いけど、アンタと鑑。それで我慢できるのかしら?』

「だったら直ぐに行きます!!」

『よろしく~』


≪――――ダダダダダダッ≫


「そんなワケで社少尉ッ。副司令に呼ばれたから行って来る! シミュレーターの流れを勉強して置けよ?」

「わ、分かりました」

「セレナ中尉・テレサ中尉。皆には良い結果を期待していると伝えて置いてください。すみません急で」

「はい。行ってらっしゃいませ(……ご主人様。なんちゃって)」

「任せて置いて~!(でも……凄い剣幕だったけど何を話してたのかしら?)」




……




…………




2001年12月17日 午後


「彼女の頼みは断れないよッ! 上司は絶対だからネッと!!」


≪ガシューーーーッ≫


もう少し水先案内の大天使を肖ろうと思って張り切っていたが、呼び出されてしまっては仕方無い。

更に純夏が絡んでいると成れば蔑ろにするワケにはゆかず……俺は全速力で執務室を目指した。

そして自動ドアを潜れば ゆーこさんの言った通り国連軍の制服を着込んだ純夏がソファーに座っていた。

だけど"ゆっくりたける"は持ち主の近くに戻っており、連絡を取った事で素直に待っていた模様。

その純夏は俺が入室するや否や笑顔で立ち上がって此方に近付き、手前で立ち止まると両手を胸に言う。


「タケルちゃん」

「純夏ェ」

「えいっ♪」

「おっと」


≪――――ぎゅっ≫


「エヘヘ」

「目が覚めたんだな」

「うんッ」

「何処か痛む所は無いか?」

「まだ左手が少しダケ。でも殆ど大丈夫だよ」

「そうか」

「…………」

「んっ?」


――――純夏は暫くの間 抱き付いており俺は彼女の背中に片手を添えてたが、やがて視線が気に成ってくる。


「どうしたの?」

「見られてる」

「あっ!?」

「はいはい。御馳走様」

「コイツが空気読めて無くてスイマセン」

「ご、ごめんなさい!」

「別に謝る程でも無いわよ。とにかく復活してくれて良かったわ」

「有難う御座いますッ」

「いきなりセキュリティを抜けて此処に来た時は驚いたけどね。しかも第一声が"白銀に逢いたい"だったし」

「あぅうッ」

「まるで脳味噌ダケだった時と同じ思考じゃないですか~やだ~」

「そ、その方が普通に考えたら自然だもん!!」

「ともかく。予定よりも大幅に早く覚醒したって事で、人に戻った鑑に対しての環境が まだ整って無いわ」

「……って事は?」

「今の鑑は宿無しね」

「えぇえ~っ!?」

「アイツは最初から言う事を聞かなかった……俺の言う通りにして置けばな。まァ良いヤツだったよ」

「何でもう亡き者にされてるの!?」

「なんとなく?」

「酷いよ~ッ!」

「ふ~ん。やっぱりアンタ達って社が覗いてた通りの遣り取りするのね」

「ははは。何だか勝手に口が先走っちゃうんですよ」

「で、でも……まァ……此処でも"タケルちゃんらしい"んだなって安心できた気もします」

「計画通り」

「絶対ウソだ~っ! ……って何だよ その顔ーッ!」

「はいはい。そんな訳で暫く白銀に鑑を預けるわ。(再浄化が必要の)72時間以内には終わるから頼むわね」

「ゑっ?」

「殆ど無いけど私物は後で社にアンタの部屋に届けさせるわ」

「だったら一緒の部屋なんだ~ッ。よ、宜しくね? タケルちゃん!」

「……仕方無いね」(兄貴調)

「あら? 何だか顔は納得して無さそうだけど?」

「はい。主に純夏の寝相が心配かつ不安で……」

「えぇっ? わ、私って悪い方じゃないと思うけど?」

「冗談だ。何より今ので添い寝に抵抗が無いって事を理解させて貰った」

「!? タケルちゃんの卑怯者~ッ」


――――全く一つ一つのリアクションがオーバーなヤツだ。流石に現実なのでアホ毛は動いていないけど。


「話は纏まったわね? それじゃあ(浄化)装置の調整に行くから鑑の事は任せたわよ?」

「任せてください。お義母さん」(キリッ)

「殺すわよ」

「サーセン」

「最後に聞いたげるけど何か問い残した事は?」

「えっと。霞に付いてた"アレ"は純夏に適用されてるんですか?」

「????」

「なかなか良い質問ね……答えは"ナシ"だけど、其処を抜けてこそ鑑は"完璧"に成ると思ってるわ」

「納得。そんな訳で純夏。無闇に人の心を読んだりするなよ?」

「!? うんッ! 私どんな事が有っても絶対に読まないよ!!」

「アカン純夏ェ……それは失敗フラグや……」

「じゃあ今度こそ失礼するわね?」

「は~い」×2


≪ガシューーーーッ≫(夕呼退室)


「タケルちゃん!!」

「うわっ、びっくりした。何だよ?」

「そんなに信用無かった~? ちゃんと約束は守るよッ」

「結構結構。ところで純夏」

「な~に?」

「ゆ~こさんって相当な美人だよな?」

「えっ? そッ、そう……だね……」

「だが俺が頭の中で本当に"そう"思ってるかは分からないから気に成るだろ?」

「!? けど……其の手には乗らないもん」

「まァ言うだけ無駄なんだけどな。純夏が本当に"読んでる"かは顔に出さなけりゃ分からね~し」

「ソレはそうだけど……」

「ともかく気をつけてくれ。今の話は忘れて貰っても構わないよ」








≪――――でも夕呼先生の搾乳なら ちょっと見たいかも≫








「!?!?」


≪ドゴオオオオォォォォッ!!!!≫(ボディブロー炸裂)


「げふぅっ!?」

「な、ななな何て破廉恥な事を思っとるかーッ!!」

「……って純夏! たった今"読むな"って釘を刺したばっかりじゃね~かッ!」

「あッ。つい」

「"つい"じゃね~よッ! 安心して妄想したのに何て事しやがる!?」

「ご、ごめんね! ……って開き直らないでよ!! そんなの考えたタケルちゃんが悪いんだよ!!」

「問答無用!!」


≪――――ズビシッ!!!!≫(チョップ直撃)


「あいたーーーーっ!!!!」

「分かったか!? 妄想するのは誰の迷惑にも成らないが、人の心を勝手に読むってのは悪い事なんだッ!」

「うぐっ! そ、そうなんだけど今の気持ちを読んだら何となく殴らなきゃ駄目って思っちゃったんだよ!」

「其の御蔭で昼食ったモン全部出すトコだった だろうがッ! まァ今回は許してやるからマジ注意しろよ?」

「……ッ……わ、分かったよ……御免なさい」

「仕方無い許してやろう。じゃあ次の段階に進むとするか」

「どうするの?」

「互いの情報交換だ。勝手に脳味噌が覚えてる事が多いと思うけど、食い違いが急に出ると困るからな」

「色々と考えると頭が痛く成っちゃうんだけどなあ」

「その際は撫でて癒してやるから安心しとけ」

「!? ぜ、絶対だよ~ッ?」


俺は相変わらずオーバーなリアクションを続ける純夏とソファーに座ると比較的に長い会話を始めた。

その内容は後で語るとして、暫くは彼女と一緒の時間を過ごす事に成ってしまったでゴザルの巻。

だ、だとすれば早めに一線を越えて"安定"させちまう事も考えるとして……今はリーディングが曲者だ。

ワザと強く(ネタ的に冒険したが)ゆーこさんの事を想う事で、強引に純夏に"読ませて"釘を刺したが……

霞と同様 俺の浅い感情は読まれないみたいだが、冥夜達 繋がりでアンリミの濡れ場が出てしまうとヤバい。

それが伊隅(姉)・柏木の戦死に繋がって来るワケだし……此処は気合を入れて純夏を預からないと成らん。


「ところで純夏」

「なあに?」

「俺 夜にも訓練しに行くけど、今から部屋で待てるよな?」

「出来ればタケルちゃんと一緒に居たいよぅ」

「おいおい。例え話だが仕事に行く旦那を待つのは妻の務めだろ? 夜は一緒に寝て やっから我慢しろよ」

「むぅ……全くもう……仕方無いなァ~ッ。えへへへ」


――――口では"こんな事"を言ってるが、御気に召したか今の純夏の表情は緩みまくっていて普通に可愛い。


「だが夕飯は一緒に連れてってやる。突撃機動部隊の皆に紹介したいしなァ」

「うんッ!」←情報交換で把握済み

「コラコラ。此処(執務室)じゃ良くても外だと腕を組むのは禁止だからな? 他人っぽく振る舞ってくれよ?」

「やっぱりダメ?」

「良いか? 鑑君。俺は少佐様。純夏は階級証から見て叩き上げの少尉。ドゥ・ユー・アンダースターン?」

「は……はぁ~い」

「だけど純夏?」

「えっ?」

「"今度"はずっと一緒だからな?」

「も、勿論だよ!!」


――――こうして2時間程の情報交換の末。俺は唯依達に内線を入れると純夏と並んでPXへと向かった。
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コメント 8

NO NAME

きた!更新きた!メイン更新きた!これで勝つる!
これからの更新とても楽しみにしてます。

ところでですが、ここまでで触れられてなかったと思うのですが、ODL浄化の際の情報流出の対策は何かあるのでしょうか?もし考えているのであればスミマセン
by NO NAME (2012-07-31 12:36) 

NO NAME

更新きたー すげー待ってった
by NO NAME (2012-07-31 13:46) 

NO NAME

待ってました!

理想郷復活しませんね…でも新婚の舞さんをせかせる訳無いですし仕方ないね
by NO NAME (2012-07-31 16:08) 

NO NAME

更新待ってました!
これからも楽しみにさせて戴きます。
by NO NAME (2012-07-31 16:34) 

ぱうあ

■ 2012/07/31(Tue) 19:38
長らくお待たせいたしました。
やっと復旧いたしました。

ただいま、長期にわたって落ちていた事から、もの凄い勢いで掲示板がロードされており、しばらく重い状態が続くかと思います。
時間がたてば落ち着いてくるかと思いますので、今しばらくお待ちいただければ幸いです。


サーバが落ちた原因については排除しました。
対策もこれからちまちまやっていきます。
しばらくは対策しながら様子見……ですね。


------------------------
だそうです
今はまだ重いですが数日経てば元に戻るかと
更新お疲れさまでした
また次の更新待ってます
by ぱうあ (2012-07-31 20:21) 

Shinji

未だに本作を楽しみにして頂き、此処まで足を運んで頂いて有難う御座います。
今回でようやく純夏を完全復活させる事ができましたが、本当に長かったです。
ですが新たなイベントラッシュの始まりとも言えるので、白銀28と純夏の漫才と唯依さんらヒロインの更なる勘違いをお楽しみに~。

>ODL浄化の際の情報流出の対策
多くは語れませんが実は10話前後の理想郷のあとがきで、この流出を利用した考えが有る事を示唆するコメントをしております。
よって考えていない訳ではありません。まァ単純な利用方法ですけど。
by Shinji (2012-07-31 23:50) 

NO NAME

>多くは語れませんが実は10話前後の理想郷のあとがきで、この流出を利用した考えが有る事を示唆するコメントをしております。
すみません、確認不足でした。
by NO NAME (2012-08-01 19:08) 

Shinji

いえいえODL云々については全く触れていなかったので問題ないです。
(言えないけど)バランスブレイクな事を考えてますよ~って後書きです。
by Shinji (2012-08-01 21:41) 

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