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第一部:第10話【龍王と鬼女】 [鬼畜召喚師ランス]

……4日目の夜。

エンジェルナイトをとエッチした事で、かなりの満足感を得たランス。

彼はエンジェルナイトをアームターミナルに入れると、新しく借りたもう一方の部屋に、リアとマリスを泊まらせる。

別に3人同じ部屋で寝ても良いのだが、誰か一人でも夜更かしするならば、もう二人が寝つけ難くなる。

勿論……その三人の中で一番夜更かしする可能性があるのはランス。主にセックス的な意味で。

たった今も直ぐには寝ないようで、彼はベットに仰向けに寝っ転がりながら、
左腕に装着したままのハンドヘルドコンピュータを弄っていた。


「聖獣、神獣、霊鳥、龍神……ふむふむ。いろいろとありやがるな」


左目に広がる画面を見ながら、ランスは珍しく"勉強"をしていた。

報酬対象である、"ライト系"悪魔の種族を調べていたのだ。


「天使、鬼神、天魔……ちっ、どの種族に可愛娘ちゃんが居るんだ? 種族だけじゃ、さっぱりわからんぜ……」


実はランス、エンジェルナイトのように、
忠実なる女性悪魔を仲魔にしたいが為、どの種族に的を絞ろうか考えていた。

天使はとりあえず外しておくとするが、種族名だけでは判断が難しい。

よって、舌打ちをしながら、ハンドヘルドコンピュータを操作してゆくが……


「女神、魔神……むむっ!? 女神、"女神"だとぉ?」


数ある種族の中に、"女神"という単語を発見し、ランスの目の色が変わる。

いかにランスが素人サマナーであろうと、女神と言う単語で、
どのような悪魔が大部分を占めるのか、容易に想像できた。

勿論ランスの考えるように、"女神"は女性悪魔比率、100%である。


「よぉ~し、決めたぜ! 今度は"女神"を合体で作るのだぁ!
 絶対に美人の姉ちゃんなんだろう、ぐふふふふっ……」


よって、ランスは明日から"女神"作る為、気合を入れる。

確かに行動範囲を広げるための一環として、ランスが行おうとしている事は正しい。

ライト系悪魔を作ることで、報酬を得ることが元の世界への帰還につながる。

……だが、少し方向性を見失っているランス君であった。


……


…………


……5日目。

二日ぶりにしっかりと起床したランスが部屋を出てくる。

すると、リアとマリスも既に起きており、しかも武装していた。


「ダーリン、おっはよ~っ!」

「おはようございます」

「なんだぁ、お前ら、やる気満々だな」

「だってリア、魔法覚えれたんだも~んっ!」

「ランス王……リア様は、早く魔法を実戦で試してみたいのです」

「ふん、ハシャぎ過ぎてハメ外すなよ? まぁ……今日も仲魔を探しに行くぞ、種族の目処は立ってる」

「それは、どのような?」

「しっかりと調べておいたからな、有難く聞け。狙う種族は"龍王"と"鬼女"、どっちもNEUTRAL-CHAOSだ。
 三身合体でも良いらしいが、それは手間が要るしな、やらん!」

「ふむ、龍王と鬼女……ですか」

「ダーリン、"龍王"は何だか強そうな名前だけど……」

「それは心配いらん、狙うのは勿論下位だ、脅すなり賄賂渡すなりして、ズバっと仲魔にするぞ。
 上位だろうと俺様の敵ではないだろうが、面倒だと思うしな」

「では、鬼女とはどのような悪魔なのでしょうか?」

「"鬼"と書いて"女"と書くから……どうせ、お前らみたいな奴らだろ」

「リア、鬼じゃないもん! ぷぅ~っ!」

「…………」←否定しないマリス


リアは新たな力を得た為か、やる気があるようだ。

反面、ランスも心の中ではセックスの為に結構やる気になっている。

こうして今日もランス達は、新宿周辺の散策を開始するのだった。


……


…………


『ご主人様、宜しくお願いします』

「うむ、俺様の為に、逆らう悪魔どもは皆殺しにするのだ!」

『畏まりました! 主に牙を剥く愚か者達には剣の制裁を!』

「ふんだ! リア、負けないもんねッ!」

「これで4人ですが……もう一体、悪魔が力を貸してくれれば、新宿を離れる事も出来るかもしれませんね」

「そうだな、何時までも、新宿に留まる訳にもいかんしな」


新宿の外に出ると、早速ランスはエンジェルナイトを召喚した。

これで4名となり、かなり新宿周辺の散策が楽になったが……新宿を離れると、より強力な悪魔が出現する。

5~6名以上のデビルバスターで荒野を越すのはともかく、ランスら三人では、連戦には耐え切れないだろう。

かといって新宿で仲魔に出来る悪魔で穴埋めし、対抗させるには役不足なので、
仲魔にした悪魔は合体させ、新しく作った悪魔をぶつける必要があるのだ。

要するに、マリスの言うように後一体悪魔が居れば、戦力は整う。

更に仲魔が三体になれば、尚安心して長距離の旅が可能だろう。


≪バシュウウゥゥッ!!≫


『グオオオォォォンッ!!』

『キシャアアアァァァッ!!』

「うおっ!? 早速出やがったぞ、"邪龍ワーム"だッ! お前らの力を、見せてやるのだぁ!!」

『はいっ……マハザンマッ!!』

「やぁッ! マハジオ~ッ!!」

「……撃ちます」


そんな会話の中、突然出現する悪魔……"邪龍ワーム"。主に群れて行動しており、その数6体。

いきなり自分が仕掛ける必要は無いと判断したランスは、
リア達に数を削るように指示を出すと、彼女達はすぐさま攻撃を仕掛けた。


……


…………


『――――はぁっ!!』


≪ざしゅッ!!≫


「死ねっ!!」


≪ズバァッ!!≫


攻撃魔法で一気に数を減らされた"ワーム"に、ランスとエンジェルナイトが突っ込む。

ランスはワームの胴体の中央を真っ二つにし、エンジェルナイトは飛行している事から、
高さのあるワームの顔面にソードを突き刺して絶命させた。

既に……この程度の悪魔は、ランスたちの敵ではなかったのだ。


「魔法がある事で、大分楽になりましたね」

「どぉ? ダーリンっ!」

「ふん……まぁまぁだな。」


……


…………


……戦いを続ける事、数時間。

"エンジェルナイト"の加入により戦いに余裕が出来たランス達は、
新宿を数キロはなれて新しい悪魔を探す事にしている。

勿論、悪魔も強くなっているので、多少は苦戦している。


『ブヒヒィィン!!』

「ぐぎがっ! な、なんだぁ? こりゃあ……」

『気をつけてください、"その魔法"を食らうと、動けなくなります!!』

「先に言えぇ~っ!」

「(り、リアはどぉして魔法が使えないのぉ!?)」←口だけの動きで

「恐らく"沈黙"の魔法だと思います!」

「(そ、そうだ……リアも使える魔法、"マカジャマ"なのね)」


相手は数体の"妖精ケルピー"。

緊縛魔法"シバブー"と沈黙魔法"マカジャマ"を得意としている。

それらを食らい、ランスは金縛りになり、リアは沈黙状態となるが、
エンジェルナイトが剣で、マリスがライフルで"ケルピー"を絶命させ、この戦いはようやく終ろうとしていた。

……余談だが、仲魔になる条件が整った悪魔に何度か遭遇しているが、
今のランスは"女神"の事しか頭に無いので、龍王と鬼女以外は蹴散らしている。


「……仕留めれたようですね」

『ご主人様、しっかり!』

「うぉ~、動けんぞぉ~」

「(リアも喋れないよ~!)」←口だけの動きで

「お二人とも、今"パトラ"を掛けます、少しお待ちを」


運にも左右されるが、戦闘が終っても、状態異常が治らないでいる。

よってマリスが簡易ステータス回復魔法"パトラ"をかけ、ランスとリアはもとの状態にと戻れた。

だが、その安心も束の間――――


≪ドリュウウゥゥ……ッ!!≫


4人の背後の空間から、小さな竜巻のような物が巻き上がる。

それが消えると……やはり悪魔の姿が現れた。

その姿を見て、マリスは何か感じたか、ランスに早口に尋ねる。


「ッ!? ランス王、この悪魔は?」

「むっ……おぉ! 当たりだ! "龍王ノズチ"だぜっ!」

「それなら、仲魔にしなくっちゃ!!」

『ご主人様、頑張ってください!!』

「がははははは、任せておけぇぃ!」


……


…………


『……ヤハリ私ワ、年上ノ大人ノ女性ガ好ミダナ。ドウモ、青臭イ小娘ハ好カヌノダ……』

「なんだとぉ? 可愛いか美人だったら、誰でもオッケーが男ってモンだろ! お前、人生半分損してるぜ!?」

『ナニ……ソ、ソウナノカ? ウヌハ只者デハナイナ……』

「がはははは、当たり前だ!」


……数分後、交渉を始めるつもりだったランスだが、ノズチと何やら別の会話を始めてしまっている。

そんな♂同士の近寄りがたい雰囲気に、♀であるリアとエンジェルナイトは、
顔に縦に線を引きながら、会話の様子を眺めていた。

だが、ダメージの軽いマリスは頭痛を感じつつも、ランスらの間に割って入った。


「ランス王……会話する事は良いですが、目的を見失わないで下さい」

「あぁ……そうだったな、忘れるところだった」

『…………』

「ん? 何見てやがる?」

『"仲魔"……カ?』

「(おっ、コイツから振りやがった)そうだな、なら本題に入るか……お前、俺様の仲魔になれ!!」

『ムゥ……サマナーノ仲魔トナルノカ……ダガ、同胞ヲ裏切ル事ハデキ難イモノダ……』

「なに、お前は俺様が合体させて、ウハウハの"女神"にしてやる」

『ナ、何ト!?』
 
「嫌だったら、他の"龍王"を仲魔にするから良いぞ? 俺様の仲魔になりたい悪魔は、腐るほど居るからなッ!」

『イ……イヤ待テ、仲魔ニナロウ!』

「ほぅ、そうか! なら、俺様の下僕として仕えるのだぁ!」

『ワカッタ……私ハ"龍王ノズチ"……今後トモヨロシク……』


結果、女神と言う単語に反応し、仲魔になってしまったノズチ。

醜い龍の姿の彼にとって、女神に転生できるのは、願ってもない未来。

故に半ば勢いで仲魔になる事を決めてしまったノズチは、早くもランスのアームターミナルに吸収されていった。

一方、流れに付いていけなかったリアとエンジェルナイトが接近してくる。


「さっすがダーリン! あの会話も、この為だったんだねぇ~っ?」

『凄いです、感服しましたっ!』

「(何の事だ?)がはははは、これも俺様の魅力なのだ!」

「(リア様……恐らく、類は友を呼んでいただけかと……)」

「う~し、今度は"鬼女"だぜッ!」


……


…………


「"鬼女"はどこだー、どこだぁぁ~!」

「なかなか出現しませんね。」

「ダーリぃン、結構遠くまで来ちゃったんじゃないのぉ?」

「い~や、今日は"鬼女"を仲魔にするまでは戻らんぞぉ!」


……更に1時間後。

剣をブンブンと振り回しながら進行するランスLv30。

そこそこレベルが上がり難くなったが、新しい敵悪魔との戦いに耐える事の出来る十分なレベルだ。

またエンジェルナイトの加入も勿論だが、リアが"回復魔法"を使えることになったのも、かなり大きい。

マリスは回復魔法を使えなくなってしまったが、
"シバブー"という緊縛魔法の魔法効果(成功率)が高く、戦闘を効果的に進めていた。

だが、目的の"鬼女"には中々遭遇できず、流石に疲労があらわれてくる。

かといってランスの目的はレベルアップでもマッカ稼ぎでもなく、
"女神"の合体材料を仲魔にする為に此処までやって来ているので諦めきれない。

だが……やはり内心、流石に今日は諦めようかと思いかけてきた時――――


『呼んだかしらぁ?』

「……ッ!? ダーリン、上っ!」

「むっ……どこだっ!?」

『あそこです!!』

「(もしかしてあれが、"鬼女"なのかしら……?)」


周辺に聳(そび)え立つビルの残骸の頂上に――――

"鬼女アルケニー"が薄笑いを浮かべてランスたちを見下ろしていた。

本日二回目の交渉が……はじまる?




=コメント=
真・女神転生の龍王は最低でもLv41のナーガ・ラジャ。
よってⅡ以降で出現する『龍王ノズチ』を出現させました。
『鬼女アルケニー』も真・女神転生のボスでⅡ以降でしかザコで出ませんが、
真・女神転生では下位がLv33のラミアなので、設定を弄っちゃいました。




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