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第一部:第03話【邪教の館】 [鬼畜召喚師ランス]



回復道場を出て、スタスタと数十歩。

早くもランスとリアは邪教の館の入り口を発見し、その前に立つと……


≪ガシュゥゥーー……≫


「うおっ?」

「勝手に開いちゃった……」


ドアは自動に左右に別れ、まるで二人を歓迎しているようだった。

奥は暗くてよく見えないが、進入する事によって段々と見えてくる。

直後、自動ドアの扉が閉じると同時に、ランスは再び目を見開く。

目の前に飛び出てきたのは、直径2,5メートル程の大きな魔法陣。

そして、魔法陣を囲むようにして立っている、
直径2メートル、高さ3メートル程の巨大な3つのカプセル。

地面に視線を移すと、膝の辺りまでの高さであるが、
何処からか白い煙か蒸気なようなものが絶えず出ており、広間全体の空気は冷たかった。


「なんなんだぁ? 此処は」

「ダーリン、なんだか怖いよぉ……」


外とこの内部との差は、まさに別次元の世界。

その為か、リアはランスの右腕にすがり付いてしまっている。

今回ばかりは甘えているのではなく、本気で怖がっているようだ。

ランスも妙過ぎる雰囲気に言葉が出なかったが、奥の方から声が響いた。


「……悪魔が集いし、邪教の館へようこそ」

「悪魔だと?」

「……っ!」


全身を青いローブで覆い、白く伸びる長い髭……そして青い帽子と眼鏡。

邪教の館の主と思われる、ミステリアスな印象の老人が姿を現した。

この時、ランスは"悪魔"という言葉をはじめて聞き、表情を改めた。

リアも気付くべきなのだが、やはり怖いのか、腕に縋る手に力をこめた。

彼女の力を感じ、ランスは少し緊張しながらも、主(あるじ)に変わらぬ自分を装い声を掛けた。


「じいさんが、ここの番か?」

「いかにも……見たところ初めてのようだが、何のようかね?」

「あぁ、隣の親父に頼まれて、仕事を受けに来てやったんだがな」

「ふむ……」


≪ザッ……≫


仕事の話を言うと、ランスに近寄ってくる館の主。

一歩一歩ゆっくりと、ランスの左腕の機械を凝視しながら前進し、
それに直接手を触れると、頷いて三歩そのまま後ろに下がった。

ランスは以前似た様な事をした老人に(ランス4,2参照)、
じじいは触るな、スライディング・キック!をお見舞いした事があるが、
今回ばかりはそんな事をする気にはなれないで居る。


「なんだなんだー?」

「うむ、間違いない……これはまさしく悪魔召喚師の証。」

「(こいつも言ってるぜ、悪魔召喚師……なんなんだ? 一体)」

「お主らの名前を聞かせて貰えるか?」

「俺様か? 俺様は最強の男"ランス"様だ!」

「こっちは、リア・パラパラ・リーザスっていいま~す。」


館の主に対し、親指を自分に向けて名を名乗るランス。

その勢いに影響されてか、顔を覗かせて名乗るリア。

……対して、館の主は再び頷き、二人を見て言った。


「そうか……ランス、そしてリアよ。私はお主らを歓迎しよう」

「おう、歓迎されてやるぞ!」

「では早速だがお主……悪魔召喚と合体に関しては、まだ素人のようだな」

「ふん……まぁ、一応そう言う事になるな」

「召喚は何となく分かるけど……合体ってなんだろう……」

「そりゃ決まってるだろ? このハイパー兵器でバコバコとだな」

「もう、そんな訳無いでしょぉ? ダーリンのバカ、バカ、バカ」

「さ、三回言うか……?」

「おじいさん、ダーリンはまだ、"これ"の使い方も知らないの。
 そんな事いってる、リアもわかんないんだけど……」

「ちっ……黙ってろ、リア」

「少し長くなるが、お主の為でもある。大まかに説明してやろう」


今までの素振りから、館の主に対しランスは新米サマナーと認識されたようだ。

実際その通りであるので機嫌が悪そうに頭を掻くランス。

よって館の主は召喚、そして合体が何かと判りやすく説明し始めた。

一方、ランスは長話を聞くような人間で無い事は誰でも知る事だが、
この"悪魔召喚師"という言葉に、非常に興味が沸いてしまっていた。

本当に"こんな機械"でそんな事が出来るのか?

確かに話を聞くのは面倒だが、こうも判らない事ばかりだと、
かえってストレスが溜まりそうなので、ランスは主の話を黙って聞いていた。


……


…………


老人は、なにやら察してくれたか、モンスターが"悪魔"と呼ばれる事からはじめ、
その"悪魔"と会話して"仲魔"にし、それを"召喚"させ、
部下として戦わせる事が出来る基本中の基本から話だし……

この場所で"合体"させて、新たに"強力な悪魔"を作り出す事が出来るのだと説明。

また、敵悪魔によっては"絶対に会話で仲魔に出来ない悪魔"や、
"属性によっては会話で仲魔に出来ない悪魔"や"属性次第で召喚すら出来ない悪魔"も居るが、
それら様々な点を全部ひっくるめて行う者の事を、
人々は悪魔召喚師……"デビルサマナー"と呼んでいるのだと言う。

話は30分程にもなり、ランスが聞き耐える事はまず無理そうな時間だったが、
彼は館の主から新しい情報を聞き出すたびに、なにやら胸が高まるのを感じていた。


「……という訳だ、理解してもらえたかな?」

「あぁ……大体判ったぜ、なんせ俺様は天才だからな」

「ほぇ~、凄いねぇ……そんな事ができちゃうなんて……」

「それでは、そろそろ本題に入らせていただこうかな」

「おう、俺様は長話を聞きに来たワケでは無いのだ」

「私は……邪教の館で、悪魔の合体の秘術を生み出すのが生きがいだ。
 だが、遂に念願の邪教の館を新宿に構えられたというのに……
 研究をする為の"資料"が、どうしても不足してしまっているのだ」

「資料だと?」

「うむ、悪魔合体を行うには、最低でも二体……多ければ三体の悪魔が必要だ。
 しかし、今は非常にデビルサマナーの数が少なくなっている。
 合体を此処で行う事はできても、悪魔を集める事が出来るのは、
 私でもデビルバスターもはない、"デビルサマナー"にしかできぬ」

「回りくどい事はいい、俺様に何をして欲しいのか言ってみろ」

「では率直に言わせて貰おう、お主に悪魔を集めて貰い、
 私の邪教の館で悪魔合体を行い……新たな悪魔を作って欲しいのだ」

「ほう」

「通常に出現する悪魔を合体させる事によって、合体でしか仲魔できない悪魔を作る事が出来る。
 それを"ライト系"悪魔と言い、非常に珍しく……資料として申し分の無い悪魔なのだ」

「成る程な……要は俺様が悪魔をとっ捕まえて、合体させりゃあ報酬をくれるって訳だな?」

「そうなるな……一体のライト系悪魔を作る度に、5000マッカを払おう。
 珍しい悪魔であれば、二倍も三倍も払うことも可能だ」

「随分と太っ腹だな~」

「そんなお金あるのぉ?」

「それに関しては心配要らぬ……長年この時の為に資金を集めていたからな」

「ま……ジジィの趣味に口を挟む甲斐性なんて無いが、
 合体ってのは面白そうだしな、ひとつ協力してやるから感謝しろ。
 だが、俺様にも都合があるからな、好きな時に合体して、飽きたら辞めるぞ?」

「あくまでこちらも、強制できる立場ではないからな……
 お主が合体しようとしなかろうと、それは自由だ」

「んじゃ、早速やってみる事にするぜ、邪魔したな、ジイさん。寒いから、今度は少し暖房を入れておけよ?」

「さようならぁ~」

「ランスよ、回復道場の師範には、後で金は払うと言っておいてくれ」

「おうよっ」


≪ガシュゥーー……≫


左腕の機械が何なのか、それが今判明した。

この世界の荒れ果てた理由と、勢力争いの詳細には興味が無いが、
悪魔合体……それはランスの冒険心を強く刺激した。

よって、交渉を成立させると、ランスは早足に邪教の館を出て行った。

リアも釣られてワクワクして来た様で、最初とは正反対の表情でランスの後に付いていった。

一方残された館の主は……一言つぶやいた。


「わからぬ男だな……腕は立ちそうだが、利口では無さそうだ」


……だが、期待できる……そんな自信が、彼には感じられた。

突然の訪問者……(素人)悪魔召喚師ランス。

彼の気配が消えるのを確認すると、館の主は再び奥の部屋へと消えてゆくのだった。




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