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第一部:第05話【コンタクト】 [鬼畜召喚師ランス]



ある程度情報収集をする中、"この世界"背景が段々と見えてきた。

この世界……"東京"に廃墟が広がるのは30年前の大爆発の所為であり、
その時あたりから"悪魔"が出現し始めたと言う事。

今現在では、神を崇め法と秩序を重んじる『メシア教徒』と、
魔王を崇拝し争いと混沌を望む『ガイア教徒』が対立している事が判った。

"この世界"の人間にとっては、この対立にかなり影響されているようだが、
ランス達にとってはそんな戦力争いなど何の興味も無い。

なんとかして元の大陸に戻る為の一環として、まずは悪魔を仲魔にする事で資金を増やし、
それで装備を整え、できるだけ行動範囲を広げなくてはならない。


「よし、そろそろ散歩は終わりだ、悪魔を下僕にするために出発するのだぁ!」

「は~い!」

「新宿の周りの悪魔はよわっちいらしいからな。まずはそいつらを仲魔にすれば良いんだな?」

「はい、ですがご注意を。私達がはじめに現れた場所でさえ、其処で出現する悪魔は弱い方だったとの事です」

「な、なにぃ? そうなのか? まぁ、強いのが出て来ても、俺様が居れば問題ない!」

「そうよ、ダーリンは魔人より強いんだからっ!」

「(本当は、リア様には安全な場所に居て欲しいけど……)」


新宿地下街を出口の方向へと進む三人。

……この時、マリスはリアの身を心配するものの、自分にも不安を感じる。

どうやらこの世界では魔法が使えないだけなく"才能限界値"も無い様で、
今の自分の実力と、リアの実力はそんなに大差が無い様なのだ。

また自分が"どのような"タイプかも判らず、
ランスは用意されていた武器や変わらない戦い方で"前衛タイプ"であろうが、
自分とリアに秘められた"力"が何なのだか予想がつかない。

元の世界のようにリアが弱いままであれば絶対に同行を許可しないが、
悪く言うと自分のほうがリアよりも劣っている可能性もある。

よって現段階、頭ひとつぶん飛び出て強いランスに期待するしかない。

本当は"こちら"ではマリスの能力はリア未満という訳ではないが、
考えが深い彼女だからこそ、いらぬ心配をしてしまう。


「("あっち"の常識が全く通用しないのが、こうも辛いとは思わなかったわ。)」


……


…………


「ふんっ……残るは貴様だけだ、死にたくなかったら言う事を聞いてもらおうか!?」

『グッ……ワカッタ、話ヲ聞コウ』

「(良し!)なら、貴様! 俺様の下僕になれ!!」

『ナラバ……血ダ! グオオォォーー!!』

「きゃあ! なんでよぉ、良い線行ってたのに~っ!」

「ぐぬぬぬぬ、俺様の慈悲を無駄にしやがって! 死ねっ!!」


……


…………


「ぜぇぜぇ、何とか倒したか……何で仲魔にならなかったんだ?」

「(もしかすると……)ランス王、この悪魔の名前は?」

「ちょっと待て、調べる……(ピピピッ)……よしわかったぞ、邪龍コカトライスだ」

「最初にダーリンがやっつけた悪魔だよね」

「もしや、それは"ダーク悪魔"ではないですか?」

「属性は何なの~?」

「むっ……DARK-CHAOS……らしいが」

「では邪龍であるコカトライスは、仲魔にならない悪魔ですね。
 今度から悪魔に話し掛けるのであれば、先に属性を調べたほうが良いと思います」

「そ、そうなのか? マリス、知っていたなら先に言え!」

「申し訳ありません(知っていて交渉していると思ったのですが……)」


……


…………


「こいつは【妖鳥コカクチョウ】か、ダークじゃないな。鳥女は趣味じゃないが、仲魔にしてやろう」

「ダーリン頑張って!」

『あなたデビルバスターね!?』

「いいや、俺様はデビルサマナーのランス様だ!!」

『へぇ、貴方がデビルサマナー? 興味があるわ』

「だったら俺様の仲魔になれ! 光栄な事だぞッ?」

『それなら……貴方の全てが欲しいのッ!』

「なにぃ?」

『……行くわよッ!!』

「おわっ!? 痛ッ……てめぇ、ぶっ殺す!!」


……


…………


「畜生、チョコマカしやがって……大して強くない癖に、なんでだ?」

「ランス王、念の為属性を聞かせて頂けますか?」

「こいつは……(ピピピッ)……NEUTRAL-LAWだ、ダークじゃないぞッ? 会話で仲魔になるんだろ?」

「だとすると……こちらの属性が違うのでは? 相手はLAWですから……ランス王はCHAOSだとすると……」

「仲魔にならんのか?」

「残念ながら」

「うがぁ~! 紛らわしい、ムカつく~!」

「たぶんダーリンって、ダークでカオスなのねっ」


≪――――ゴンッ!!≫


「うるさい! カオスはともかく、ダークとはなんだッ!?」

「ひん、痛いの……」

「くそっ、不愉快だ……馬鹿剣がチラつきやがる……俺様は絶対ライトでロウだと思ってたのに……」

「それは無いと思いますが」

「マリース!」


……


…………


「こいつは【堕天使ベリス】属性はNEUTRAL-CHAOSらしい」

「交渉で仲魔に出来る悪魔だねっ」

「ふん、騎士か……多少役には立ちそうだな」

『むむ、何だ人間共? 私の名声を聞いてやって来たのか?』

「はぁ? 何ネボけた事――――」

「(ランス王、落ち着いてください、交渉をしましょう)」

「(チッ、そうだったな……)あぁ、そうだ、お前に用があった」

『ふむ、そこのサマナー、中々感心なヤツだな。話を聞いてやろう』

「なら、俺様の仲魔になれ! 最強である俺様の部下になるのだ!」

『ほう、それなら1000マッカを捧げるのだ。それで仲魔になってやろう』

「何ぃぃッ、金だとぉ!? 悪魔の分際でふざけんじゃねぇ!!」

「ちょ、ちょっとダーリン!?」

『ふんっ、貧乏人に用などは無い……ゆくぞォ!!』

「(やっぱりこうなってしまうのね……)」


……


…………


「けっ、梃子摺らせやがって!」

「ダーリぃン、さっきお金あげれば仲魔になってくれたかもしれないのに……」

「ふん、なにが悲しくて悪魔に媚売らなきゃならんのだ。おいリア、こいつは何か持ってそうだ、死体を調べろ」

「え~ッ? そんなの嫌よぉ」

「リア様、私がやります」

「あっ? マリスありがと~!」

「しっかし、悪魔を仲魔にする事がこうも面倒なんてな」

「ねぇ、あんな調子じゃ何時までたっても悪魔が仲魔に出来ないよぉ?」

「ふん……今度は脅してでも仲魔にしてやるぞ。おいマリス、そいつは何か持ってたか?」

「はい、お金を少しですが持っていました」


……


…………


「くそ~、仲魔になる悪魔が出てこんではないか!」

「属性の違う悪魔は倒すしかありませんね」

「ダーリン、もう疲れたよぉ……」

「ランス王、そろそろ戻りませんか? "弾薬"という物が無くなりそうです」

「ちっ……まぁいい、金が多少は溜まったからな、今日は此処までだ」

「リア達、レベルアップもしたみたいだよ?」

「うむ、何処でもレベルアップは基本だな」


……


…………


……そんな訳で数時間。

ランス達は新宿付近を数時間ひたすらウロウロし、悪魔と交渉したり、戦ったりを繰り返した。

よって多少レベルアップした三人だったが、目的である悪魔は一匹も仲魔にならず、
悪魔召喚師というものがいかに大変か思い知らされた。

『堕天使ベリス』に対してはどう考えてもランスの短気さが問題だが、
勉強不足の所為でもあり、そう簡単に悪魔は仲魔にならない。

だが……プラスになった事も沢山ある訳であり、悪魔を倒す事によって"倒した悪魔"の相性が判ったり、
"ガン"のお陰でリアでも十分戦える事がわかったりと、三人は疲れたものの、無事に新宿の地下街へと戻った。


「不本意だが、またあの親父に回復でもしてもらうか」

「ガイア神殿の方が金銭的には安いのですが」

「いや……あそこはムサいからな、属性が合おうと絶対に行かん」

「お金の事は、二の次なのですか?」

「リアもその方が良いなぁ、おばさんとか良い人だよぉ?
 また泊めてくれるって言ってたんだし、お世話になろうよ~」

「わかりました」

「ふん、結局はリアか!」




○ステータス(初期値ALL5+ボーナス18+Lv=合計)
ランスLv25 力20 知10 魔5  体15 速15 運8
リ アLv20 力8  知14 魔18 体8  速10 運10
マリスLv22 力12 知18 魔12 体10 速12 運6
残金:2500マッカ




=コメント=
真・女神転生のダーク悪魔は仲魔にしようとすれば問答無用に襲って来ます。
レベルが足りなかったり、属性が違っても、問答無用で襲って来ます。
はじめて真・女神転生をプレイした人は、なんでやねん!と思った事でしょう。
……ちなみに、今回の作品では殆どの悪魔はお金を落としません、残念!




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